引っ越して間取りが変わったのでデスクを新調することにした。 既製品でぴったりのものが見つからなかったので、自作することにした。
Amazonで脚を買い、天板は自分好みのものをマルトクショップでオーダーして組み立てた。特別な工具も使わず、届いたものをネジで組み立てるだけで完成した。
要件
MUST
- 天板の幅は120cm。部屋のレイアウト的にこれが限界。
- 脚部分の奥行きは45cm程度、天板の奥行きは55cm。引き出し家具の隣に置くので、引き出しスペースとの兼ね合いで脚の幅に制約がある。一方で天板は引き出しとは干渉しないため、張り出させて広くしたい。検討の結果この数値に。
- 高さは70cm前後。WORKAHOLICでワークチェアを選んだ時に、その時のテーブルの高さを測った。
- 自動計算ツールによると、自分の場合キーボード作業時にベストな高さは71cm。
- モニターアームをクランプで設置するので、なるべく天板の強度を確保する。
SHOULD
- テーブルは壁際設置ではなくアイランド形式で置くので、せっかくなら奥側に補強パーツなどを付けずに完全に吹き抜けにしたい。足を伸ばせる。
- テーブルの脚は鉄製にしてマグネット家具を付けられるようにする。
- 手前側の辺は下側に向けて傾斜をつける。なんとなくテーブル下に足が引っかからない気がする。
- かっこいい木材。
自作の方針
いろいろ探したが、上記を満たすベストな製品が見つからなかった。 繋ぎでCLASで借りたダンテ デスクはそこそこ良かったが、奥行きが狭い、奥側にX字の補強パーツがある、天板の木材に表情がなく面白くない点が不満だった。
自分は特にDIYをしたいわけではなく、なるべく楽に希望のデスクが欲しいだけだったが、自作デスクについて調べてみた。 多くの人がマルトクショップで天板を注文して作っており、このショップにほぼ全ての作業を任せられることもわかった。 人によってはマルトクに木材のカットだけ注文し、磨き・塗装・ネジ穴開けなどは自分でやっていて(この記事やこの記事)、最初はこれらの記事を読んで尻込みしてしまった。 しかしマルトクには塗装や鬼目ナットの取り付けまでやってくれるオプションもあるので、自分のような人はそれを使えば脚をネジで取り付けるだけでデスクが完成する。 ここまでやってくれるならもはやただのカスタマイズ組み立て家具なので、この方向で行くことにした。
ちなみに鬼目ナットとは、木材に直にネジを打ち込むのを避け、ネジをつけるための金具を木材側に埋め込むためのもの→鬼目ナットについて
マルトクのこの記事に、マルトクで天板を注文して自作デスクを作る一通りの流れが乗っているので、これの通りに進めていく。
また自作デスクになると脚はほぼ自動的に既製の鉄製になるっぽい。これも自分の要件(上記)として都合が良い。
脚選び
マルトクはまさに自分のような人向けに天板とセットで鉄脚も売っている。これらの鉄脚はマルトク側で仕様を把握しているので、これを買うとネジ穴の位置・サイズ指定で楽できたり先方でも仕様の間違いがないかチェックをしてくれたりという利点があるようだった。
しかし自分の場合は「脚の間隔は45cm程度」という条件にあう製品がここで見つからなかったので別で買うことにした。
この記事で紹介されていたエイ・アイ・エス(AIS) テーブルキッツ脚 奥行45cm用ハイタイプ スチール・金属 長方形 ブラック TBK-4366ST BKにした。
注文時点で¥7,829。
木材選び
具体的なサイズや各種仕様を決めてオーダーする前に、使う木材を選ぶ必要がある。 マルトクの木材サンプルをいくつか注文して実物を見てみることにした。 この木材サンプルにサンプル塗装をしてもらうこともできる。自分は各木材サンプルの両面にそれぞれウレタン塗料クリアーと自然塗料クリアーを塗ってもらった。
サンプルを見て検討した結果、自分はウォールナット(節・白太有り) 集成材+ウレタンクリアー塗装にした。 この木材のサンプルは用意がなかったが、ウォールナット集成材とアカシア集成材(節・白太有り)のサンプルを参考に、これが良いだろうと決めた。
無垢材もかっこいいと思ったが、PCデスク・作業机として使うので、以下の理由から集成材にした。
- せっかく無垢材を買ってもモニタやキーボードなどで覆われてしまい無垢材のテクスチャがあまり楽しめなさそう
- モニターアームをつけるために安定した強度が欲しい
またデザイン面でも、白太あり集成材はアクセントが効いていてかっこいいと思った。
さらにこちらの記事で言われているようなそれぞれのメリット・デメリットも踏まえ、自分のユースケースでは集成材が適していると判断した。
設計
マルトクのオーダーフォームを埋めるための情報を決めていく。
使用方向
選んだ(ウォールナット(節・白太有り) 集成材)は三方向使用のみ対応なので自動的に決定。 裏側に節などが入るが自分のユースケースでは問題なし。
サイズ
- 厚さ:25mm
- この記事などを参考にした。今回の木材の場合、25, 36, 40mmから選ぶ。それほど広くない天板なので、25mmでも強度的に問題ないだろうと思いこれにした。
- 幅:550mm
- 長さ:1200mm
面取り
各辺の面取り加工の種類を選ぶ。
- 面[A]:糸面 + 磨き
- 面[B]:糸面 + 磨き
- 面[C]:C面(2:裏面)+ 磨き
- 面[D]:糸面 + 磨き
デスクとして使う時に手前側に来る辺の面取りを「C面(2:裏面)」とした。
C面にした辺と接している辺は糸面しか選べないので自動的に決定。 また奥側の辺は特にこだわる必要がない上、Rが大きいとむしろクランピングの邪魔になるので、そちらも糸面にした。
コーナーR加工
全て5mmとした。
塗装
ウレタンクリアー 両面(ツヤ全消し)
オプション:鬼目ナット取り付け
買った脚の仕様に合わせて、M6を16箇所。 取り付け箇所は図面で指定(後述)。
その他のオプション
他にも色々なオプションを指定できるが、自分は選ばなかった。
- 反り止めの取り付け:この記事やこの記事が参考になった。自分の場合は買った鉄脚が反り止めを兼ねる形のため不要と判断。
- 穴あけ:例えばこの記事では天板に穴を開けて電源を埋め込んでいたが、自分の場合はモニターアームをクランプで付けるため、強度を下げないために穴は開けないことにした。必要があればクランプ式の電源を付ければ良い。
また穴あけ加工は切り欠きとしても使えるが、切り欠きもクランピングの邪魔になりうるし、自分はデスクを壁付けせずアイランド形式で置くので切り欠きでコード類を逃す必要もない。
- 後から気づいたが、モニタアームはクランプで付けるより、穴あけオプションで天板に穴を開けてグロメット式で取り付けた方が強度的には良かったのかもしれない。
図面
注文をカートに入れた後、設計図を画像としてアップロードできる。 自分の場合は鬼目ナットの加工位置を示すために、設計図を提出した。マルトクのこの記事に書いてあるとおり、文字で指定するより図面を提出した方が伝わりやすいしミスも減らせる。
簡単・手描きで良いので図面があるととっても助かります
(図面サンプル、マルトクの記事より引用)
自分が提出した図面は以下。 コピー用紙に定規と鉛筆・ボールペンで書いた。 CADを使ったりする必要はないし、工学的に(?)正式な図面の書き方も知らないが、これで問題なかった。
鬼目ナットの位置は、先に買ってあった鉄脚の穴の位置を実際に定規で測って決めた。
以下は脚のサイズを測った時に書いたラフな図面。
発注・組み立て
上記の通り発注。 34,540円(税込)だった。オーダーメイドブランドのデスクより全然安いと思う。
届いた天板がこちら。
ちゃんと鬼目ナット加工がされている。
鉄脚のネジ穴ともぴったり。
ネジを締めるだけで完成。ネジやワッシャーは鉄脚に付属のものを説明書通りに使った。
完成。
注文通りの面取り。
設置。
ちらっと見える通り奥にベッド、手前の壁際に本棚がある。 この2つの家具の間隔がデスクの奥行きを制約している上、ベッドが引き出し収納になっているので(冒頭の要件に書いた引き出し収納はこれ)その引き出しスペースも考慮する必要があった。 この空間的制約の中で最大限天板の奥行きを確保して、PC操作時の腕や頭の姿勢やモニタまでの距離に問題のない環境を作れたと思う。ただ、現状ではこれがベストとはいえ、モニタと目の距離をもっと確保できると嬉しいので、後付けのキーボードスライダーを付けてキーボードをもっと手前に置くかもしれない。
天板の上は予想した通りモニタやキーボードなどでそれなりの面積が覆われてしまった。上述の通り無理に無垢材にしなくて正解だっと思う。それにこの集成材の天板もかっこいい。
4万円強で自分の環境にフィットした好みのデスクが手に入った。